捏造・妄想だらけの二次創作ブログです。
たまに愚痴ってます。
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こんにちは(・ω・)
あーめがザーザー降っているー♪ピアノの授業のテストに新たに加わりました。今週は雨乞いしてる気分になるでしょう。←そして歌詞違う
銀英ロマン、焔ラストです。日付の正確性などは、気にしないように!←おい
ギュンター・キスリングは、「事故を起こしてしまったのは余だ。フラウ・ミッターマイヤーの様子を、見ていてくれないだろうか」という、命というよりはお願いのような頼みを受け、特別許可をもらって看護婦と共に墓地をうろつくミッターマイヤー夫人を見ていた。
アウグスト・ザムエル・ワーレンは、妻の月命日に墓参りに訪れ、看護婦と共にいるミッターマイヤー夫人を見つけた。
「フラウ・ミッターマイヤー。この辺りの墓地で、ある歌がはやっているのをご存知ですか?」
看護婦がミッターマイヤー夫人に問う。
「ええ。一部分だけですけれど」
歌いだした夫人の声は、とても澄んで柔らかく、けれどもその顔は、立派に成熟した大人の女性だった。
「―歓びに咽ぶ白い朝 哀しみに嘆く黒い夜
我らが歩んだ此の日々を 生まれる者に繋ごう…」
夫人が歌うと、看護婦も共に歌いだす。
「―瞳に映した蒼い空 涙を溶かした碧い海
我らが愛した此の世界(バショ)を 愛しい者に遺そう…」
ワーレンは気づいた。あの看護婦は、ルッツが入院していたときの、あの看護婦ではないか。
「―嗚呼 朝と夜は繰り返す 煌めく砂が零れても…
嗚呼 朝と夜は繰り返す 愛した花が枯れても…
嗚呼 朝と夜は繰り返す 契った指が離れても…
嗚呼 朝と夜を繰り返し 生命(ヒト)は廻り続ける…
美しい『焔(ヒカリ)』を見た 死を抱く暗闇の地平に
憎しみ廻る世界に 幾つかの『愛の詩』を灯そう…」
キスリングは思う。それは今の皇帝(カイザー)ではないのか…キルヒアイスの命日が、2ヶ月前であったから。
ワーレンは思う。それはもしかして、俺のことか…妻が逝って数年も経つのに、休んでまで毎月墓に通って。
そして『焔』とは、皇帝自身と、戦いの高揚感か。そして、暗闇の地平(宇宙)に出るたびに万単位で人が死に、それでも勝利を得た皇帝に歓びを感じている。
これでは確かに、憎しみは永遠に廻り続け、戦も永遠に終わらない。これでは…
これでは、ゴールデンバウム王朝と、何ら変わりないのではないのか?
キスリングとワーレンは互いがそこにいることも知らずに、己の思考に慄然としていた。
「そういえばエヴァさん、例のおまじないはなさったのですか?」
「ええ、ウォルフの瞳とわたしの髪、それからわたしの瞳のウォルフの髪の色の、人形ですわ」
「見たかったですわ」
そう言って同意し、ルッツの婚約者は、人差し指を唇に近づける。それはいつの時代も万国変わらず意味が通じるジェスチャー。…アイゼナッハと副官にとっては違うのかもしれないが。
「でも、棺に入れる前に人に見られてはいけないんですものね」
うふふ、と笑いながら二人は見つめ合う。
「見られなどしませんわ、親もわかっていないのですもの、あの子は。せめてわたしの人形でなぐさめてあげないと、ヴァルハラで、寂しいでしょう?」
ちょっと待った。
・・・・・・・・・・
親もわかっていない?
「キスリング隊長」
不意に後ろから声がした。
「皇帝(カイザー)がお呼びです。ロイエンタール元帥から、ハイネセンへの招請状が届いたと。上級大将以上の方の収集されておいでです」
「…わかった。ご苦労」
「あの」
「…何d「ワーレン提督もこちらにいらっしゃると、お聞きしたのですが」」
「ワーレン提督が……!?」
さえぎられたのは少し癪に障ったが、ワーレン提督が来ているというのは初耳だった。ロイエンタール元帥に謀反の噂ありと帝国全体がざわついている中、休暇をとってまで参りたい墓とは…。
あ、という声にキスリングは前を見る。噂の当人、ロイエンタール元帥と士官学校が同期の、アウグスト・ザムエル・ワーレン上級大将。
「…妻の月命日だ、キスリング。
ちゃんと許可はいただいている」
軍人であることの欠点のひとつが、ここにいる。ワーレンの妻は病に倒れ、ワーレンが戦に出ている間に亡くなった。帰ってきたワーレンを待っていたのは、処理が終わり、冷凍保存された妻の遺体だった。
「行くぞ、皇帝がお呼びなのだろう…?フラウ・ミッターマイヤーは、ルッツの婚約者殿がついている。心配せずともよいだろう」
フラウの状態を見るに、フラウよりもミッターマイヤー元帥のほうが心配になってくるが。
ワーレンはそう言って、自分の乗ってきたらしい地上車(ランドカー)へと歩いていく。
「早く終わらぬかな」
真面目で勤勉なワーレンがそういうことを言うのは珍しい、とキスリングは目を細める。
「こういう騒動が全部終われば、カールをこっちに呼べる。久方ぶりに、会いたくなった」
「呼ばれていなかったのですか」
フェザーン遷都計画と共に、ほとんどの者は家の者と共にフェザーンへ来ていた。奥方を亡くし、軍人の身だからと息子を両親に預けていたワーレン提督。フェザーンへと引っ越すにあたって、両親・息子を共に呼び寄せているものと思っていた。
「学期途中だったんだ。休みになれば呼ぼうと思っていたら、噂が立ってしまってな…」
せっかく呼んだのに家に帰れなかったら、呼んだ意味がないではないか。
そっぽを向いて呟くワーレン上級大将は、亡き奥方に想いを寄せる、ただの親ばかだった。
フェリックスは、思わず見入っていた鏡から顔を離した。後ろを振り返ると、当時を知る者と当時を鏡で見ていた者が、それぞれの反応をしていた。
「…ロイエンタール元帥……」
キルヒアイス元帥が、気遣わしげに声を出す。
ロイエンタール元帥は、もうここにはいなかった。映像が始まってすぐに、彼は出て行ってしまったのだった。
彼が悪いんじゃない、と言ってやりたい。でもそれは、天上(ここ)に来たロイエンタール元帥には、聞き慣れすぎている言葉だろうと思うのだ。彼が何を考えているのか、それを探りたくはないし、オスカー・フォン・ロイエンタール元帥が叛乱を起こした理由など、ロイエンタール元帥自身にもわかっていないだろう。
「フェリックス。心配しても無駄だと思うぞ」
もう、みんないなくなっているものと思っていた。うじうじと考えている俺のことなど、誰も見ていないと思っていたのに。
「あの人の性格をわかっているのか?自分のことすらよくわかっていないのに、あの人を数ヶ月しか知らない奴が、全て理解できると思うか?」
所詮、あの人の心に追いつける者など、ミッターマイヤー元帥ぐらいなものなのさ、と、ファーレンハイト元帥は言う。
「今ごろはたぶん、軍人をしながら生きてきたことを後悔する、もう一人の元帥の下へ行っているよ」
でも、知己の人間で元帥号の人間は他には…。
「ヤン・ウェンリーさ。同盟の人間だよ。
前はハイネセンに住んでたが、イゼルローンに住んでいる。あそこは中立だからな、その元帥の「おかげ」で。ロイエンタール元帥がミッターマイヤー元帥と初めて出会ったのも、イゼルローンであったしな」
食うために軍人になった貴公子は、ただ微笑んでいた。
「俺の家が貧乏な理由、教えてやろうか」
どうせもう、食うに困ることはないのだからな…ロイエンタール元帥の自嘲笑いが映ったようだった。
鏡に映るのは赤い大きな宝石。
……どこかで見たことがあると、思った。
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