続きです。雷蔵の一人称むずい(^-^;

｢……で、また鉢屋なの？｣
少し呆れ顔をした善法寺先輩にそう言われると、流石の雷蔵でも腹が立った。｢鉢屋｣を｢保健委員｣に変えれば、全くいつもの光景ではないですか。

｢……とりあえず、目だけ覆っておきましたので、後よろしくお願いします｣
三郎の治療を見守りたいのを我慢して、雷蔵は医務室を出る。目をやられたからには、素顔をさらさないわけにはいかないだろう。

三郎は、自分にはどうしても素顔を見せたがらない。
善法寺先輩や新野先生などの、どうしても必要な人には仕方なく見せているようだけれど、その場合は、しつこいくらいに他の人間を追い出す。今はたぶん、奥の隔離部屋が空いているのだろう。

気にならないといえばそれは嘘になる。
以前三郎に聞けば、｢私の顔を見れば、私のことを嫌いになる｣と言って、闇に消えた。一週間ほどハチの部屋に泊まってから、何ごともなかったように僕のところへ帰ってきた。
それ以来、僕が三郎の素顔について触れたことはない。

｢聞いたら、また逃げてしまうんだろう？｣

なぜか懐かしさを感じる君だから、僕の顔を貸してあげているんだよ。

｢らいぞー、早くしないとまた夕食が豆腐にされちまうぞ｣
それは、急いでも急がなくても一緒じゃないかな？

どっちにしろ僕は、迷うんだから。

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