捏造・妄想だらけの二次創作ブログです。
たまに愚痴ってます。
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一番複雑な立場だろうと思うのです。
そしてもうすぐ実習なのです。泊り込み♪
↑
これを書いたのは、一番初めに下書きを打っていたとき。泊まり込みの実習って…8月ですよ、おい。
久しぶりですね、豆腐シリーズ。毎月するつもりだったのになあ…。
そして今回の豆腐、続きます。
一番辛いのは誰なのか。久々知兵助自身か、久々知兵助の存在を消しつつある、善法寺伊作か。久々知兵助のことを覚えている人間か、覚えている人間が何かを隠していると気づいている、覚えていない人間か。
一番辛いのは自分だと、六年は組用具委員長、食満留三郎は思っていた。
久々知兵助が何を思って善法寺伊作に相談したのか、結果として伊作が何をしたのか。誰が久々知兵助のことを覚えていて、誰が覚えていないのか。覚えている程度のことまで、今回のことはすべて把握している、いや、「把握させられている」、ただ一人の人間。誰にも相談はできず、そのことに関しての独り言も言えず、伊作に報告するだけの、自由な人形。
いなくなることを望んだ、久々知兵助。
周りの事を知りたくなった、善法寺伊作。
逆らうことを諦めてしまった、食満留三郎。
互いの利害が一致して始まったはずのことなのに、それぞれで何か、むなしさを感じていた。
この程度のことなのか、という落胆。久々知のことを覚えている者が少ない。覚えている者が、自分一人で抱え込もうとしている。一気に学園内に漂ってしまった負の空気に、留三郎自身が滅入ってしまっていた。
「失礼します。…食満先輩?」
不意に自室に入ってきた後輩に、必要以上にうろたえてしまう。
「う、お、おお…不破…違う、鉢屋か。どうした?」
一応、わかっているつもりだった。下級生ならともかく、先輩の自分が不破と鉢屋を間違えれば、一体どう思うか。
案の定、柔和な不破の顔から、不機嫌な鉢屋の顔に表情を変えた。この人なら不破になりきっていてもわかってくれる、という信頼が一気に崩れ、「鉢屋三郎」でいないといけない苦痛。それを味わわせてしまったことを、留三郎は瞬時に感じた。
「…すまん、鉢屋。最近疲れていてな。…で、何があった」
「最近」という表現は、間違っているわけではないけれど、合っているわけでもない。この数か月の間を「最近」という言葉でくくっていいものか決められず、わからないまま口に出していた。
「たいしたことではないのですが…ハチの奴を知りませんか。夕飯の後に姿が見えなくなったので、雷蔵と二人で探しているんです」
「おまえら…二人だけでか…?」
「そうですが?」
「おまえが人にそいつの居場所を尋ねたのは」
「あなただけです」
「そうか。俺は、そいつの居場所は知らない。だが、そいつが行方をくらまされたことは知っている。そこまでだな」
竹谷八左ヱ門がいなくなったと留三郎がわかった時点で、裏切ろうと決めていた。だが踏ん切りがつかず、そうこうしているうちに鉢屋が来て、見透かされたようで戸惑ってしまったのだった。
「どういうことですか」
鉢屋の問いに、留三郎は紙と筆を取り出す。下級生にも読みやすいようにと癖がついた文字を書き連ねていく。
『声に出すと危ないから筆談をする。まず聞くが、不破と二人だけで竹谷を探しているのには、何か理由があってのことか?』
鉢屋も自分の筆を取り出し、その隣に繊細な字を書いた。
『あなたが危ないと思っている理由とおそらく同じかと。人に広まるとハチが危ないので、二人だけで探しています。雷蔵が一人になってしまうので、早くしてもらえます?』
『不破はこのバヤイ無事だ。危ないのはむしろお前の方だな。竹谷は今のところ無事らしい。いなくなったことはわかっていても、どこにいるのかをあいつが突き止めきれていない。俺がわからないのだから当たり前だな』
ハハッ、と笑い、一度留三郎は筆を置く。机の下をのぞき、2つの丸薬を取り出す。
「飲め」
1つを自ら飲み込み、鉢屋に差し出す。
「え、何ですか、それ…」
「いいから飲め!」
訳がわからない状態の鉢屋の口に丸薬を押し込み、仕方なく飲み込んだ鉢屋の体を抱きしめる。
「すまん」
「だから!なんなんですかいきなり…!」
はっきりとしたことをあまり言わず、どうすればいいのか結局わからない。
「すまん、鉢屋…おれが…おれがもっと早く決断できていれば、止められたかもしれないのに…本当に…本当に…」
三郎は、食満先輩のこんな姿を見るのは初めてだった。制服が、食満の涙で濡れる。
「先輩?」
「すぐに不破を探そう。不破もお前も危ないかもしれない」
「待ってくださいよ、さっきと話が違っ…」
「変わったんだ!」
尾浜がやられた、と食満は言った。それが一体誰のことなのか、三郎は知らない。
「誰…ですか、それ…」
自分がどういう状況に陥ったのか、自分でわかっていた。自分はどうやら、オハマという者のことを忘れてしまったらしい。いずれ、自分やハチ、そして雷蔵が同じ目にあう、自分たちが忘れ去られてしまう。自分がいざ人のことを忘れて初めて、事の重大さに気がついた。
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