１１日遅刻って…すみませんでした！！

土井先生編です。というか、火薬委員会編です（笑）
豆腐好きの五年い組、火薬委員会委員長代理、久々知兵助。
ある日突然消えた彼を忘れないよう、覚えている者が毎月、１２日に豆腐を学園内に置く。
存在を覚えている者がだんだん減り、ついに、覚えている者が集まっていく。


来月は、豆腐しか更新しないと思われます。保育所実習が２週間入るので、その準備に追われるためです。
どうしてもうずうずすれば、銀ロマ上げるかもしれませんが、とてつもなく確率は低いです。


明日、誕生日なんだ…カナンさんがお祝いしてくださるんだ…(ｺｿｯ

最近、食堂のおみそ汁が、真っ白だ。

そして、
また、みそ汁にちくわが入っていた。

こういう時は……！



そこまで考えたが、今彼はいないことを思い出す。
火薬委員長代理、豆腐好きの五年い組、久々知兵助。
数ヶ月前に、消えた。ただの行方不明ではないことは明らかで(もしそうなら、この学園は空っぽになっている)、もう久々知のことを覚えている者は少ない。委員長も不在、代理も不在の火薬委員会は、さながら毒虫が死んだ時の生物委員会のようだった。

硝煙蔵にたどり着くと半助は、戸を開けた。

「お前達、委員会を始めるぞ」
「「「…はい」」」
仕方ないという風に、私のところに集まる３人。
たった一人がいないというだけで、こんなにも変わるものなのか。
「…お前達、久々知が卒業したら、どうするつもりなんだ？この気持ちをずっと引きずるつもりか？」
沈んでいた三人が、ばっと顔を上げる。
「それならそれで諦めます！」
「でも、こんな風にいなくなられたら、あきらめられません！」
「僕はまだ、委員長代理の代理をする気はないですからね」
矢継ぎ早に出される声を聞き分けられるのは、私と山田先生、庄左ヱ門、それに、久々知兵助自身だけだろう。
久々知兵助は、必ずどこかにいる。どこかにいて、今もこの私達のやりとりを聞いているのではないか。最近、どうもそんな気がしてならないのだ。
毎月１２日。彼のことを覚えている者が、彼のために用意した豆腐が、次の日の朝には全てなくなっている。長屋の自分の部屋の押し入れ、硝煙蔵の中、果ては蛸壷の中に置いていた者もいるのに、一欠けらもない。半助は、そこに一種の執着のようなものを感じ取っていた。
「久々知兵助」の存在を、消し去りたいと願うかのようで。久々知のために用意したという皆の想いを、なかったことにしたいのかと、疑ってしまう。
毎月、まるで供えるかのように置かれる豆腐の量が、増えていることに、果たして気づいているのだろうか。供える人が増えているのではない。一人当たりの用意する豆腐の量が、増えているのだ。

「…知ってるよ」
火薬委員会顧問、土井半助は、委員のメンバーに言った。
「お前達が久々知のことをどう思っているかは知ってる。

　だから、お前達は、久々知のことを、覚えているんだろう？」

彼らの前にある、豆腐の入った桶。それが何よりも、彼らの気持ちを表していた。

火薬委員会は、委員長代理の久々知兵助なしでは、存在できない。それを久々知自身は、わかっているのだろうか。



「今日、こっそり火薬委員会を集めたのは、そういう意味だ」
そう告げると、三人は首をかしげる。
「今月の豆腐の日、それは今日だが、いつも、次の日には用意した豆腐がなくなっている。
　そこで！！」
「「「そこで？」」」
「今夜、ここに置いた豆腐を、皆で見張ろう。
　豆腐を取って行った者を、どんなことをしてでもいいから捕らえろ。ただし、火気は厳禁だ」
「土井せんせ～い」
タカ丸が、手を挙げた。
「ん？どうした、タカ丸」
「ほんとうに、何をやっても、いいんですかあ？」
いつもの柔らかい口調。しかし瞳は、真剣だった。
「ああ、いいぞ。ただし、話せるようにはしといてくれよ」
「わかりましたあ～」
その返事を聞いて、半助は立ち上がる。
「では、今夜、少し早めに、亥の刻に、ここの屋根裏に集合だ」
「「「はい！」」」



尊敬する委員長代理のため。忘れることを恐れる自分達自身のために。
火薬委員会は、立ち上がった。

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