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捏造・妄想だらけの二次創作ブログです。 たまに愚痴ってます。
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第一弾。前のやつは冒頭なので、「第0弾」か?

前回、あまりにも説明が足りなさすぎるだろうと思ったので、もう一度説明を。

幻想楽団Sound Horizonの5thStoryCD「Roman」をなぜか銀英伝でやろうと思い立ち、やっちゃいました(^_^;)
銀英ロマンと言っておきながら、もろ帝国です。同盟メンバーは、ロイ誕の時のような番外編のような感じでやると思います。
歌詞引用、所によりアレンジしております。あんまり資料も見れてないので、信用しないでください。
年号・日付等は確認しているつもりですが、もし違っていたらご連絡ください。
オリキャラを一人作っています。ミッタの息子です。原作にはそんな子いませんよ、もちろん。イヴェの立場を割り当てるためだけに捏造(笑)
アルバム収録順ではありません。話の都合上、順番を変えています。

ロイとオベを幸せにしてやりたいがためにやらかしたものです。生ぬるく見守ってやってください。
「星屑の革紐」と「見えざる腕」は配役すごく簡単だったv ただまだそこまで下書き行ってない。



「わたし、ずっと考えていた名前があるんです。ウォルフ、いいかしら?」
「ああ、言ってみろ、エヴァ」
ウォルフガング・ミッターマイヤー元帥。泣き親友の子を家に連れ帰ったばかり。初めて感じる小さなぬくもりに、戸惑いながらも、嬉しい気持ちをこらえきれずにいた。
「フェリックス、といいますの」
「フェリックスか……」
昔の言葉で「幸福」を示す名。
エヴァンゼリン・ミッターマイヤー夫人には、記憶がない。
エヴァは一度、「フェリックス」を腹に宿した。その頃の一年ほどの記憶が、彼女にはない。「フェリックス」の名を名付けるのは、実は二度目だということを、妻は知らない。
「フェリックス」を見るたび、あの子どもを思い出し、「フェリックス」と呼ぶたびに、あのカスタード色の髪の、消えた魂を思い出す。
「うん、いい名だ」
そう妻に言いながらも、ミッターマイヤーは、この苦痛が自分に耐えられるかどうか、自信がなかった。
(フェリックス、俺たちのもう一人のフェリックスのためにも、俺たちと、お前自身の幸福(フェリックス)を、どうか大切にしてくれ。)

ファーター(父さん)、大丈夫だよ…。

そう聞こえた気がして、ミッターマイヤーは振り返る。だがそこには、引き取った子の父親の従僕である、ランベルツ少年がたたずんでいるだけだった。
「ああ、すまなかったな。君も入りなさい。中で紹介しよう」
彼が入ると、ミッターマイヤーは戸を閉める。その直前、元帥の印である赤いケープが、風もないのに翻った。

 

―― …… フェリックス …… ――

 

「ファーター。俺のことなんか、ムッター(母さん)みたいに忘れてしまっても、俺はかまわないのに」
死んだものが集う、天上の国・ヴァルハラ。下界をのぞく鏡の間に、青年はいた。なめらかなカスタードの色をした、肩までかかる甘い髪。少し鈍くしたような、紫の瞳。霧の日に見る、すみれのような色だろうか。
彼には他に、することがない。母が共に埋めてくれたらしい、母の手作りの双子の女の子(人形)を話し相手にしたりもするが、彼は自分の都合がつく限り、ここに来て、父母を見守る。そこで彼は、父母がもう子どもの産めない体になってしまったことを、知ってしまったのだった。
無事に産まれていれば、フェリックス・ミッターマイヤーは、銀河帝国ローエングラム王朝の重鎮の息子として、多大な期待を背負った子どもとなっていたであろう。だが彼は生まれる前に死に、帝国の軍人は、親友に支えられながら泣く「疾風ウォルフ(ウォルフ・デア・シュトルム)」を、垣間見ることとなった。
「その髪、もしかして、『フェリックス』か?」
ただの鏡に映る、金銀妖瞳(ヘテロクロミア)、ダークブラウンの髪。ローエングラム王朝期の軍服に、風に舞う青のケープ。
つい先ほどヴァルハラへ上がってきた、オスカー・フォン・ロイエンタール元帥だ。
「…俺を、知って……?」
生んだ母ですら、忘れているのに。
ロイエンタール元帥は、ふ、と笑う。自嘲の笑いとは違う、人を和らげる微笑み。
「当たり前だ。あの当時のミッターマイヤーを知っているもので、お前を忘れている者などいない。
 それほど、ミッターマイヤーの嘆きようはなかったぞ。キルヒアイスを亡くしたわが皇帝(マイン・カイザー)と比べても、甲乙はつけ難いだろうな」
言外に、俺にも早くミッターマイヤーを見せろと言っている。いくら帝国軍幹部、それもラインハルト・フォン・ローエングラムの関係者のみのエリアであっても、戦争が起きるたびに、この鏡の間を利用するものも増えていく。下の人間が一人でも気にならない者などいないのだから。
「後ろの鏡が、空いてますよ」
フェリックスはそう薦めた。彼が見たい人は、ミッターマイヤー元帥だけではないだろうから。
俺は、ミッターマイヤー元帥しか見ていない。一番喜んでくれたのが彼で、一番悲しんでくれたのが彼だから。
フェリックスは、ウォルフガング・ミッターマイヤーしか知らない。フェリックスにとっては、ラインハルト・フォン・ローエングラムも、ミッターマイヤーが忠誠を誓っている相手としか認識していない。彼にとってすべては、ウォルフガング・ミッターマイヤーを中心に回っていた。

――なあ、俺は存在しない方が、よかったのか?

傍らには、2つの人形。母親の髪に、父親の瞳のブリス(Bliss)。父親の髪に、母親の瞳のハピネス(Happiness)。フェリックス(Ferix)と同じく、「幸福」を示す名だった。
時々フェリックスは不安になる。特に、彼の父、ミッターマイヤーの顔に、明らかな作り笑いが浮かぶ時などは。

「なあ、俺の代わりに行ってくれる?」
フェリックスは、2人の人形に尋ねた。

  ――この世界には僕が 生まれてくるに至る
      物語(roman)はあるのだろうか?――

子どもの話になると作り笑いを浮かべる父。
そんな父を気遣って、子持ちの者も、子どもの話をしない。皇太子アレクサンドル・ジークフリード・ローエングラムを生んだ、皇妃(カイザーリン)ヒルダでさえも、皇帝(カイザー)ラインハルトでさえも。
そんな時、フェリックスは人を相手に問う。
それをなだめるのが、ミッターマイヤー、ラインハルトと宇宙を共にした提督たちだった。
「哀しまれてしまうから、というだけで、自分が存在していたことまで、否定してしまうのですか?」
深く柔らかに問うのは、ケンプ元帥で。
「哀しまれている、ということは、存在してよかったんだと確認できる、ということでもありますよね」
静かに独白するのは、キルヒアイス元帥で。
相手(フェリックス)に言うというよりは、自分自身がそう納得したいがために言うような口調だった。
フェリックスは、自らを囮にしようと思うのだった。
ここに来るまで、自分の顔も見たことがなかった。自分の声も知らない。親の顔も見たことがない。この世界(Valhalla)しか知らない自分にも、存在価値があるならば…。

  ――さあ、行っておいで――

  ――Ja,Herr.Mittermeyer(かしこまりまして、ヘル・ミッターマイヤー)

双子の人形は手を繋ぎ、下界とを繋ぐ鏡に、繋いでいない方の手を伸ばす。鏡面が波立ち、鏡と2人の中に、一つの空間が出来上がる。

  ――廻り来る生のざわめき 太陽の風車
     廻り往く死の安らぎ 月の揺り籠 ――

「俺が存在していてもいいのなら、きっとみんなも大丈夫だから……」

  ――生まれてくる朝と
       死んでゆく僕(フェリックス)の伝説(legend) (roman)

「まずは、あなたの物語(roman)から…」
双子の人形は、自らの記憶を鏡に移す。

「 ――そこに物語(roman)は、あるのかしら?」

鏡に映ったのは、新帝国軍の軍服を着、元帥ケープをまとった、ウォルフガング・ミッターマイヤー。お腹の突き出た奥方、エヴァンゼリン・ミッターマイヤーを優しく抱きしめると、地上車(ランドカー)に乗り込んでいった……。




 

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