[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
兵助消失連作。このシリーズはどれから読んでも大丈夫なようになってるはずです。
久々知兵助君が、ある日突然消えた。姿も、存在も。
彼の事を覚えている人は少なく、以来、学園内に「豆腐の日」という日が漠然と存在するようになった。
そして、今月もまた、豆腐の日がやってきた。
今回はタカ丸です。
覚えていない仙蔵に気を使ってます。
いつ見てもいつ触れても美しい髪。
そんなに手入れをしていないのに、いつも爆発に巻き込まれているのに、僕が手入れする頃
にはいつも整っている髪。触っていて気持ちいい髪。
でもやっぱり何か…
「…物足りないなあ」
きれいすぎて、整えるという手間がいらないから。
「何だタカ丸。私の髪が不満か?」
ああ、仙蔵君、聞こえてたんだ。ごめんね。
「ううん、仙蔵君の髪は好きなんだけど、今日はちょっと気分が乗らないみたい」
ごめんね、と謝って、僕は仙蔵君の部屋を出る。おい、タカ丸、って、仙蔵君が呼んでるけ
ど、またごめんね、って謝ってしまう。
だめだよ、耐えきれないよ、どこに行ったのさ、兵助くん……。
たくさんの人が兵助くんのこと忘れてる。なんで?どうして?
六年長屋から向かうのは、学園の食堂。
「おばちゃん」
「あらタカ丸君。どうしたんだい?」
「お「豆腐ください」」
あれ?
「タカ丸さん。覚えてたんですか」
『覚えている』。それって、久々知兵助くんのこと?ねえ?そうだよね?
「はい。お豆腐二丁おまちどお」
「…ありがとうございます」
「ありがとうございまあす!」
綾部喜八郎は淡々と、斎藤タカ丸は元気よく。
食堂を出ていった。
どこに行く?五年長屋、硝煙蔵、五年生の教室、火薬委員会のお部屋…
どこにいる?五年い組火薬委員長代理久々知兵助のことを覚えている人物は…
「へーすけくん…」
僕は、兵助くんじゃないとダメみたい。
まっすぐな髪もいいけど、くしが中々通らないぐらいの癖のある髪のほうがやりがいがある
。
ふわふわで、真っ黒な髪。嫌がるけど、大好きだよ、兵助くん。
ねえ、本当は今日も、どこかでお豆腐を食べてるんでしょう?
いつか、
戻っておいで、待ってるから。
「ほら、今日のお豆腐だよ、兵助くん」
毎月十二日。それは、忍術学園のいたる所に、豆腐が置いてある日。その日限りの豆腐たち
は、次の日には無くなっているという。
覚えている者が出会うのは、いつ?
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
星座は、喜三太と同じ。