忍者ブログ
捏造・妄想だらけの二次創作ブログです。 たまに愚痴ってます。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


お久しぶりです、チェルナムです。

銀英ロマン、呪われし宝石はこれにて終了です。
キルヒを選んだのはただの趣味です、はい。場所さえ変えれば誰でも連れて行けたはずです。

次はロイを救おう大作戦その1です。長いです。

ハロウィンとまったく関係ないものをお送りいたします。
ではでは。


「フェリックスくん!一体どこへ…」
「アンネローゼさまの部屋だった場所を教えてください!あなたなら知っているでしょう!?」
「確かに知ってますけどね…でもなぜです?」
「皇帝が、アンネローゼさまにあげたところを見たんだ。捨てて、しまおうと思って…」
「……こっちです」
元帥の足がとたんに速くなる。声も心なしか低くなった気がした。


――鎖された硝子  優雅に眠る宝石
   過ぎ去りし日の夢の中
   忍び寄る影  溶け込む緋の闇
   盗賊たちは部屋の中        ――
  (死人の2人)


「ここです!」
キルヒアイス元帥の声を合図に、2人は部屋に飛び込んだ。
棚の引き出しを、下から順番に開けていく。
「どんなものだったのですか?指輪とか、ピアスだとか…」
元帥の低い声が、フェリックスに問う。普段とは違う口調に戸惑いながらも、おそるおそる答えた。
「たしか…首にかけていたように…」
「…わかりました」
キルヒアイス元帥は、今まで探していた棚とは全然別の棚の、真ん中の引き出しを勢いよく開けた。赤い大きな宝石が、床に落ちる。
「…これですよね?」
これじゃなかったら許さないぞ、というような気迫。
思わずひるんだところへ、声がする。

「何か物音がしたぞ!」
「グリューネワルト伯爵夫人のお部屋だ!」
「何だ!?盗人か!?」

「…フェリックスくん。どうやって帰るんです?」

それは正直、考えていなかった。
警備員が部屋に突入する。慌てて部屋を見渡すと、大きな鏡が目に入った。鏡面が揺らめいている。……え?
キルヒアイス元帥、と呼びかけようとして、フェリックスはためらった。あちら(valhala)ではいいけれど、こちらでは禁句だ。皇帝(カイザー)の生涯の親友で、今は亡き人なのだから。
「キルヒー先輩」
さんざん悩んで口に出した名称は、自分でもわけのわからないものだった。それでも振り向いてくださった元帥に感謝したくなる。…顔は怖いけど。
「鏡だと思います」
不敵の笑みを浮かべたキルヒアイス元帥。赤い髪と、赤い宝石。さながらそれは、燃え盛る焔のようで。
「ふふ」
元帥は笑う。鏡面は激しく揺れている。
「私たちは、世界の闇の原因を、回収しに参りました。あなた方が案ずることはありませんよ。それでは」
その声を合図に、フェリックスは鏡に飛び込んだ。キルヒアイス元帥もそれに続く。鏡の向こうから、誰かが腕を引っ張っていた。

「ばかか、おまえは」
「キルヒアイス、俺はお前に対しての印象が変わったぞ」
「気持ちはわかるがな」
「このかっこうつけが」
この罵詈雑言を浴びて、フェリックスは、帰ってきた、と思った。
「…みなさん」
キルヒアイス元帥の声に、皆我に返る。

「目が笑ってますよ」
キルヒアイス元帥は、皇帝と離れて初めてであろう、心からの笑みを浮かべていた。





その後、宝石は、ワルキューレに頼み、ヴァルハラの宇宙の彼方へと捨てられることとなった。
しばらくの間、キルヒアイス元帥の姿を見たものは、いない。

拍手[3回]

PR
この記事にコメントする
           
お名前
タイトル
メール(非公開)
URL
文字色
絵文字 Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
コメント
パスワード   コメント編集に必要です
 管理人のみ閲覧
この記事へのトラックバック
トラックバックURL:
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
カウンター
フリーエリア
最新コメント
最新トラックバック
プロフィール
HN:
chelnam
性別:
女性
自己紹介:
誕生日は、ユリアンがフェザーンを脱出した日。
星座は、喜三太と同じ。
バーコード
ブログ内検索
P R
アクセス解析
忍者アド
Copyright ©  -- 宇宙と砂と時を越える地平線 --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Material by White Board

powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]