捏造・妄想だらけの二次創作ブログです。
たまに愚痴ってます。
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遅くなりました。
春休みになり、ちょい復活です。
このシリーズ、捏造だらけです。信じないで、パロディとしてお楽しみください。
どシリアスですが、少しでもみなさんの元気のもとになればと思います。
―― 幾許かの平和と呼ばれる光
其の影には常に悲惨な争いが0101(あ)った
葬列に参列する者は 皆一様に口数も少なく
雨に濡れながらも
歩み続けるより他にはないのだ ――
正直に言えば、もう少し早く行うべきだったと思う。
新領土(ノイエラント)総督として、葬儀が終わり次第、ハイネセンへと発たなければならない。
せめて少しでも時間があれば、と思わずにはいられなかった。
皇帝(カイザー)の即位式で華やかに見えた礼服が、気持ちと形式が変わるだけで、喪服に早変わりする。軍隊にいる以上、それは当たり前のことで、戦争をする度に、昇進式と慰霊祭の準備が、ほぼ同時で行われる。今までは何も考えずに行動してきたことだが、こうして、まだ生まれもしなかった、一度も泣くこともなかった、名前を呼ぶこともできなかった子供を見送る葬列に参加することと、たくさんの僚友や戦友や部下、上司を送ってきた葬列とは、違う。
これは、ミッターマイヤーと奥方が、さらに落ち込めるように用意され、元の二人に早く戻れと二人に言えるようになるための、区切りの儀式なのだろう。
フェリックス・ミッターマイヤー。「幸福」の意味を持つ名前の、望まれて生まれてくるはずの、生まれてくる前に死んでしまった赤子。
オスカー・フォン・ロイエンタール。望まれたのかどうかは知らない。ただ、生まれた後には疎まれ、存在せぬ者として扱われたことは事実だ。乳母の顔など覚えてもいない。俺が母親とバッタリ出会うだけで、あの親父に即日解雇されていたのだと、執事夫妻は言っていた。
望まれたのに生まれぬのと、疎まれながらも生き続けるのと、どちらがより不幸であろうか…。
換えの軍服が確か執務室のロッカーにあったはずだな…。
濡れる元は、雨か、涙か。それとも、生きることに嘆く、後悔の汗か…。
理想(ドリーム)と現実(リアル)の間(はざま)に堕ちた、男の幻想物語(ロマン)…
「行ってきなさいな、ウォルフ」
「でも、エヴァ…っ!」
「もう何年も、会えないのでしょう?」
だったら行ってきなさいな、と笑う妻の笑顔に、ウォルフガング・ミッターマイヤーは、戸惑いを覚えていた。いつもの、ふわりと笑う柔らかい笑顔。けれど、どこかが、何かが違う。
「行ってらっしゃい、いつ本当に会えなくなるか、わからないんですもの。この子のお母様は、かわいそうなことになりましたわね。一度も笑った顔を見ることもできなかったし、一度もおっぱいすらあげることができなかったんですものね」
そのときになって初めて、ミッターマイヤーは、妻の心が壊れてしまっていたことを知った。
「ああ、それからウォルフ」
「…ん?何だい、エヴァ?」
「さっき皇帝(カイザー)がお見えになりましてね、”原因は私だ。すまなかった”っておっしゃってたんですけど、それって事故のことですわよね?」
まあ、たいしたことじゃないから、いいんですのよ。それよりも、早くお見送りに行って差し上げなさい。
葬式に出席できるようにと急きょ用意された車椅子で「フェリックス」の元へと戻り、静かに微笑んだ。
ミッターマイヤーは、妻の様子に心を塞ぐこともままならぬまま、新たな任務に飛(たび)発つ親友を、見送らなければならなかった。
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